風俗営業では、一定の条件をクリアした業者は、特例風俗営業者として、一定の優遇措置を受けることができます。
その条件や、優遇措置の中身を見ていきましょう。
特例風俗営業者の認定とは
公安委員会は、過去10年以内に行政処分を受けたことがないこと等一定の要件に該当する風俗営業者を、その申請により、特例風俗営業者として認定することができることとされています。(風営法第10条の2第1項)
認定された場合、一定の優遇措置があります。
・優遇措置の中身
①認定証を許可証の代わりに掲示することができる。
単なる許可証より、公的に認定されているということを、堂々と示すことができ、信用形成に役立ちます。
風俗営業にとっては、信用があることによって、不安を和らげ、新規のお客さんを呼び込むことに有効に作用します。
②構造・設備変更の事前承認が不要
営業所の構造または設備の変更に際し、通常は公安委員会の事前承認が必要とされるところ、事後の届出で足りることとされています。
③管理者講習の免除
特例風俗営業者の営業所に置かれる管理者については、その者がその営業所の管理者として1回以上定期講習を受けたことがあれば、定期講習の対象から除かれます。
管理者講習については、風俗営業の管理者ー管理者講習で。
・特例風俗営業者の認定の要件
①年数に関する要件
風俗営業許可を受けたときから10年以上経過していること。
②処分に関する要件
過去10年以内にこの法律に基づく処分を受けたことがなく、かつ、受けるべき事由が現にないこと。
処分には、指示も含まれます。
「この法律に基づく処分」とは?
当該営業に関するもののみならず、およそこの法律に基づくものをすべて含みます。
複数の営業を営む場合又は営んでいた場合にあっては、そのすべてについて過去10年以内に処分を受けていないことが必要です。
③法律等の遵守に関する要件
風俗営業に関し法令及びこの法律に基づく条例の遵守の状況が優良なものとして、国家公安委員会規則で定める基準に適合するものであること。
「国家公安委員会規則で定める基準」とは?
①過去10年以内に、管理者の解任の勧告を受けたことがなく、かつ、受けるべき事由が現にないこと。
②過去10年以内に、公安委員会からの管理者の講習の通知がある場合、風俗営業者が管理者に講習を受けさせなければならないが、これに違反したことがないこと。
ただし、病気その他やむを得ない理由により管理者が講習を受けなかった場合において、次の講習の機会に受講させたときは、これに当たりません。
・特例風俗営業者の認定は申請により行われる
許可から10年経ち、他の要件も満たしているからと言って、自動的に認定証が送られてくるわけではありません。
認定を受けようとするものは、あらかじめ認定申請書を、その営業の所在地の所轄警察署長を経由して、公安委員会に提出しなければなりません。(風営法第10条の2第2項)
申請書は東京都であれば警視庁の風俗営業申請様式一覧でダウンロードできます。
添付書類
①営業の方法を記載した書類
②営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
③特例風俗営業者の認定の要件のいずれも満たすことを誓約する書面
・特例風俗営業者の認定を受けた後に気を付けるべきポイント
①認定証の紛失、滅失
認定証をなくしたり、滅失したりしたときは、速やかにその旨を公安委員会に届け出て、その再交付を受けなければなりません。(風営法第10条の2第5項)
②認定の取り消し
- 偽りその他不正の手段により当該認定を受けあことが判明したこと。
- 風俗営業の許可が取り消されたこと。
- この法律に基づく処分を受けたこと。
- 特例風俗営業者の認定の要件の③法律等の遵守に関する要件を満たさなくなったこと。
(風営法第10条の2第6項)
③認定証の返納
次のいずれかに当たるとき、認定証の交付を受けた者は10日以内に、認定証を公安委員会に返納しなければならない。(風営法第10条の2第7項)
- 風俗営業を廃止したとき。
- 認定が取り消されたとき。
- 認定証の再交付を受けた場合において、なくした認定証を発見し、または回復したとき。
次のいずれかの場合は、次に該当する者が10日以内に、認定証を公安委員会に返納しなければなりません。(風営法第10条の2第9項)
事由 | 返納者 |
死亡した場合 | 同居の親族または法定代理人 |
法人が合併以外の事由により解散した場合 | 清算人または破産管財人 |
法人が合併により消滅した場合 | 合併後存続し、または合併により設立された法人の代表者 |
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