居酒屋やバーなどの飲食店において、アルバイトやパートなどの有期契約労働者の雇止めについて労働契約法で制定されています。
労働についての2018年問題、つまり有期労働契約の無期労働契約への転換については居酒屋やバー開業ー無期雇用への転換ー2018年問題で触れていますが、この無期転換前の雇止めは、労働契約法によって規制されています。
以下、無期転換前の雇止めなど、有期契約労働者の雇止めについて紹介します。
飲食店などにおいての雇止め
飲食店はアルバイトやパートなどの有期契約労働者の割合が多いと思います。
また、繁忙期や閑散期などで労働管理が難しい業界です。
閑散期や売り上げが低迷してきて、従業員を減らそうとし、有期契約労働者の雇止めを行う際には労働契約法による規制があります。
どのような規制があるのでしょうか?
そもそも有期雇用の雇止めとは?
有期労働契約は、期間の満了と使用者が契約更新をしなければ終了し、これを雇止めといいます。
民法において特別に規定しておらず、当事者の自由に任せています。
ですが、労働者保護の観点から、一定の場合に使用者による雇止めを制限する必要があります。
それでは、一定の場合とはどのような場合か?
①反復更新+無期雇用と同一視できる場合
有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
ー労働契約法 第19条第1号ー
有期労働契約が反復更新されていて、その有期契約労働者の解雇が無期契約労働者の解雇と社会通念上同視できると認められる場合です。
具体例としては、労働内容が無期契約労働者とあまり変わらなかったり、更新手続きが形骸化していたりする場合です。
②契約更新に合理的期待がある場合
労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
ー労働契約法 第19条第2号ー
具体例としては、労働内容も季節的なものや特定のものを作ったら終了するなどの一時的な内容ではなかった場合などです。
契約の更新状況、採用時における使用者の言動、契約書の記載事項、職務の内容などから、ある程度の継続が期待されていたと判断されれば、対象となり得ます。
①②いずれかに該当した場合
使用者による雇止めは、客観的に見て合理的理由がない場合、社会通念上相当であると認められない場合は、認められません。
ですので、有期契約労働者が更新を希望すれば、使用者は拒否できず、従前の労働条件で更新されます。
雇止めのルール適用には労働者からの契約更新の申し込みが必要
有期契約労働者の更新申し込み→使用者による拒否(雇止め)→①②に該当した場合、拒否が認められず法定更新。
上記の流れが条文上の流れなのですが、実際は使用者による雇止めが先にくることが多いと思います。
そこで、厚生労働省による通達で、以下のような流れでもよいとしています。
使用者による雇止め→労働者による反対の意思表示→①②に該当した場合、拒否が認められず法定更新。
「ちょっと、それは困りますねー。嫌ですねー。」
というようなものでも良いということです。
予め労働者と更新について合意しておく
有期労働契約の締結の際に、不更新・更新限度条項を明示しておくことが出来ます。
不更新は、期間満了と共に当然に終了し、一切更新しないとすることを明示します。
更新限度は、更新は3回までとし、それ以上は更新しないとすることを明示します。
このことにより、その限度を超える雇用継続への合理的期待は原則として否定される形になります。
不更新・更新限度条項を加える際は注意が必要です
更新限度条項を、有期労働契約書に加えても、使用者がその限度を超える雇用継続を期待させるような言動があった場合、雇用継続への期待が生じ得ます。
また、一旦雇用継続への合理的期待が生じている場合、一方的に不更新・更新限度条項を明示しても、多くの判例では雇用継続への合理的期待は失われないとしています。
この場合重要なのは、労働者ときちんと合意形成をすることです。
それには、使用者が十分に不更新条項の内容や意味について説明すること。
そして、使用者が不更新条項を設けることについての人事管理上の合理的理由の存在していて、そのことを労働者に誠実に説明しておくのが良いでしょう。
そのうえで、合意を形として残すために、個別に労働契約書などに明記しておくことをお勧めします。
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