飲食店開業ー社員・アルバイトの採用時の労働契約書の重要性

飲食店開業ー労働契約書の重要性

残業代未払いなどにより、制裁金も含め1200万の残業代の支払い命令が下された、というようなニュースが最近ありました。

賃金や労働条件について、労働者に説明したが、書面で交付していなかったり、説明が不十分で十分に理解されていなかったりすると、上記のように残業代について合意がなされていなかったとされ、訴訟により支払い命令が下される可能性があります。

社員やアルバイトの採用時、このような問題が起きないように重要になるのが、労働条件の書面による交付と十分な説明です。

以下、関係する法律をもとに、契約書や労働条件の説明について紹介します。

労働契約の成立はどのように?

そもそも、労働契約はどのように成立するのでしょうか?

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

労働契約法 第6条

労働者と使用者が合意することによって労働契約は成立します。

ですので、原則としては書面によらず、口頭で合意に至れば労働契約は成立することになります。

人材不足が恒常化していると、アルバイトの面接の日にそのまま採用ということがあって、そのまま来週から来てくださいというようなこともあるかと思います。

そうなると、労働契約についての書面を交付しないで、そのままということが多いのではないでしょうか。

それでも、原則としては労働契約成立に問題はありませんが、はじめに書いたように賃金等でトラブルが起きないように書面交付は重要になります。

労働契約法にも義務ではありませんが、条文があります。

使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。
ー労働契約法 第4条ー
労働条件や労働契約の内容については、労働者の理解を深めることと、できる限り書面による確認する努力を要請しています。

労働基準法による規定

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

ー労働基準法 第15条第1項ー

労働条件通知書に明示するべきものは以下になります。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  3. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  5. 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  8. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  9. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  10. 安全及び衛生に関する事項
  11. 職業訓練に関する事項
  12. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  13. 表彰及び制裁に関する事項
  14. 休職に関する事項

このうち、書面により交付しなければならないものが1から6になります。

これを、いわゆる労働条件通知書といいます。

もし交付しなかったら?

30万円以下の罰金に処せられます。

アルバイトを雇う場合は特定事項の書面による明示も必要

アルバイトなどの短時間労働者を雇う場合に以下の特定事項も書面により明示する必要があります。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

労働契約書と労働条件通知書の違い

労働契約書は使用者と労働者の合意を形にしたものであるのに対して、労働条件通知書は使用者による一方的な通知になります。

また、労働契約書は任意であるのに対して、労働条件通知書は義務になります。

労働契約についてどのように対応するべきか?

労働条件通知書は使用者による一方的な通知なので、もし後に賃金等でトラブルが発生した場合、そんなもの聞いていない、通知書なんてもらっていない、というようなことが起こる可能性があります。

このような点から、使用者と労働者との合意を形にしたものである労働契約書を作成する方がトラブルを未然に防止するには効果的であります。

しかし、労働基準法で労働条件通知書の交付が義務付けられているので以下のような対応が選択肢として挙げられます。

  • 労働契約書と労働条件通知書の作成
  • 労働条件通知書の必須事項を契約書に規定した労働契約書を作成

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